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2016年12月22日

H28年度 第12回 固体物理セミナーを開催します

(インタラクティブ物質科学カデットプログラム講演会)
H28年度第12回 固体物理セミナー

日時:12月22日(木)14:40-16:10
場所:基礎工学研究科講義棟 B105
講師:山崎 裕一
(東京大学工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター(QPEC) 特任講師)
題目:「共鳴軟X線小角散乱によるスピンテクスチャの観測」

要旨:空間反転対称性の破れた結晶をもつ強磁性体では、ナノメートルスケールのスピンテクスチャが形成されることがある。例えば、カイラルな結晶構造を有するB20型構造のFeGeでは、スピンが渦巻き状に配列したスキルミオンが三角格子を形成する「スキルミオン格子」が観測されている。
スキルミオンは不純物などの外乱要因に対して安定な構造なため、低い閾値の電流によって駆動させることができ、スピントロニクスにおける記録素子や演算素子などへの応用が期待される。スキルミオン格子は、これまで、中性子小角散乱や、ローレンツ電子顕微鏡などによって静的な磁気構造の観測が行われてきたが、そのダイナミクスに関してはサブ秒程度の現象の観測に限られてき
た。今後は、スピントロニクス素子などへの応用を見据え、高空間分解能・高時間分解能でスピンダイナミクスを観測できる計測手法の開発が求められている。
我々は、新たなスピンテクスチャの観測手法として透過型の共鳴軟X線小角散乱法を開発してきた。通常、X線のスピン散乱能は高くないが、吸収端近傍では共鳴効果によって散乱能は増大するため、共鳴軟X線散乱ではスピンの秩序構造を高感度に観測することができ、放射光の特性により高分解能、電子状態の観測が可能となる。この計測手法により、FeGeにおけるスキルミオン格子の形成を観測し、スキルミオン格子の形成過程におけるスピンダイナミクスの観測にも成功している[1]。将来的には、放射光源のコヒーレンス性やパルス性といった特性を活用することで、磁気共鳴状態におけるスピン秩序構造の観測など、超高速の磁気イメージングも可能になると期待される。本セミナーでは、共鳴軟X線小角散乱法の現状と将来展望について紹介したい。

[1] Y. Yamasaki, *et al.*, Phys. Rev. B 92, 220421(R) (2015)

問合先:若林 裕助(基礎工学研究科)

*固体物理セミナーは、基礎工物性・未来(物性系)M2必修科目「ゼミナールⅢ」に該当します。