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H28年度 第4回 固体物理セミナーを開催します

2016年7月13日

固体物理セミナー
(平成28年度 第4回)
(インタラクティブ物質科学カデットプログラム講演会)

日時:7月13日(水)13:00-14:30
場所:基礎工学部 D404-408共用セミナー室
講師:山口 浩司 上席特別研究員 (NTT物性科学基礎研究所)
題目: 「マイクロメカニカル共振器による電気的フォノン制御」

要旨:片持ち梁や両持ち梁、メンブレンなどの微小な人工板ばね構造は、超小型かつ高集積化可能なセンサ・フィルター・信号処理デバイスなど多様な用途に応用が期待される「マイクロ・ナノメカニカル共振器」として昨今研究が盛んに行われている。我々はこれまで圧電半導体であるGaAs/AlGaAsヘテロ構造より作製した機械共振器を用い、パラメトリックな共振特性の変調技術により、その振動を電気的に生成・検出・周波数変換する技術の研究を進めてきた[1-4]。共振器中の機械振動は、物質の弾性波である音響フォノンの古典状態(コヒーレント状態)が人工構造により閉じ込められたものと考えることができるため、この圧電制御技術は音響フォノンの生成や検出、エネルギー変換の電気的制御を実現する有効な手法としての展開が期待される。特に、機械共振器の周期的連結構造は、フォトニック結晶などと同様にフォノンのバンド構造を有することが期待され、それにより実現した「フォノニック結晶」に上記圧電制御技術を組み合わせれば、フォノンの伝搬を電気的に制御することが可能になる。本講演では、このような視点により我々がこれまで行ってきた機械共振器のパラメトリック制御技術 [1-3] ならびにそのフォノニック結晶導波路への応用 [4] について紹介する。また、高周波かつ極低温においては、フォノンの量子力学的な性質が出現する。フォノン制御技術の基礎科学分野における将来展望の一つとして、単一フォノン制御などをも含めた量子フォノニクス分野の最近の研究動向と、我々の試み [5] についても時間の許す範囲で紹介する。

[1] I. Mahboob and H. Yamaguchi, Nature Nanotechnol. 3, 275 (2008).
[2] I. Mahboob, K. Nishiguchi, H. Okamoto, and H. Yamaguchi, Nature Phys. 8, 387 (2012).
[3] H. Okamoto, et al. Nature Phys. 9, 480 (2013).
[4] D. Hatanaka, I. Mahboob, K. Onomitsu, and H. Yamaguchi, Nature Nanotechnol. 9, 520 (2014).
[5] Y. Okazaki, I. Mahboob, K. Onomitsu, S. Sasaki, H. Yamaguchi, Nature Communications 7, 11132 (2016).

問合先:井元 信之(基礎工D407号室)
Tel: 06-6850-6445
E-mail:imoto@mp.es.osaka-u.ac.jp

*固体物理セミナーは、物性・未来(物性系)M2必修科目「ゼミナールⅢ」に該当します。

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