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令和元年度 第2回 固体物理セミナーを開催します

令和元年度 第2回 固体物理セミナーを開催します

6月6日(木)

固体物理セミナー(令和元年度 第2回)
(インタラクティブ物質科学・カデットプログラム講演会)
日時:6月6日(木)14:40-16:10
場所:基礎工学研究科 G棟215-221セミナー室
講師:東 浩司 特別研究員(NTT 物性科学基礎研究所)
題目:「ブラックホールの面積と負の情報」

要旨:
約半世紀前、Bekensteinは、ブラックホール物理が熱力学第2法則に反さないためには、ブラックホールが、その面積に比例したエントロピーを持つべきであると主張した[1]。
Hawkingは、後に「ブラックホールは完全にはブラックでない」と表現することになる、ブラックホールの熱輻射を発見し、Bekensteinの主張を補強した[2-4]。
しかしながら、このホーキング放射の微視的描像は、正と負のエネルギーを持つ粒子の対生成に基づき、ブラックホールの第一法則、Bekensteinの主張、量子力学のユニタリティの間で矛盾を引き起こす。ParikhとWilczekは、ホーキング放射を動的幾何におけるトンネル効果として扱うことで、この矛盾を解決するが、ホーキング放射が熱輻射であることを犠牲にしている[5]。
本発表では[6]、熱力学ではなく量子情報理論の観点から、Bekenstein方程式の代わりとなる方程式を提案する。私たちが提案する方程式は、ブラックホールの面積が、単純なエントロピーではなく、ブラックホールの外側から、ブラックホールが持つ正のエネルギー粒子へのコヒーレント情報[7,8](負の条件付エントロピー)に比例することを主張する。
私たちの方程式は、ブラックホールが持つ負のエネルギー粒子が、まるで負のエントロピーを持つかのように振舞うことを示す。これらのアイデアは、ブラックホールが古典情報ではなく、純粋な量子情報を蓄えていることを示している。

[1] J. D. Bekenstein, Phys. Rev. D 7, 2333-2346 (1973).
[2] S. W. Hawking, Nature 238, 30-31 (1974).
[3] S. W. Hawking, Commun. Math. Phys. 43, 199-220 (1975).
[4] S. W. Hawking, Phys. Rev. D 13, 191-197 (1976).
[5] M. K. Parikh and F. Wilczek, Phys. Rev. Lett. 85, 5042-5045 (2000).
[6] K. Azuma and S. Subramanian, Preprint at http://arxiv.org/abs/1807.06753 (2018).
[7] B. Schumacher and M. A. Nielsen, Phys. Rev. A 54, 2629-2635 (1996).
[8] M. Horodecki, J. Oppenheim and A. Winter, Nature 436, 673-676 (2005).

問合先:山本 俊(基礎工D棟407号室)
Tel: 06-6850-6445
E-mail: yamamoto@mp.es.osaka-u.ac.jp
* 固体物理セミナーは、物性・未来(物性系)M2必修科目「ゼミナールⅢ」に該当します。

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