活動報告Reports

第11回 固体物理セミナーを開催しました。

第11回 固体物理セミナーを開催しました。

2015年1月26日(月) 13:00~14:30

大阪大学基礎工学国際棟 セミナー室

平成26年度第11回固体物理セミナーを開催しました。

講師名Prof. Peter H. Dederichs

講師所属:Peter Gruenberg Institut & Institute for Advanced Simulation, Forschungszentrum Juelich & JARA,

講演タイトル:「Friedel Oscillations- In the Bulk and on Surfaces

固体物理セミナー11回_1 固体物理セミナー11回_2

要旨:Electrons mediate many of the interactions between atoms in a solid. Their propagation in a material determines its thermal, electrical, optical, magnetic and transport properties. Therefore, the constant energy contours characterizing the electrons, in particular the Fermi surface, have a prime impact on the behaviour of materials. If anisotropic, the contours induce strong directional dependence at the nanoscale in the Friedel oscillations surrounding impurities. Here we report on giant anisotropic charge density oscillations focused along specific directions with strong spin-filtering after scattering at an oxygen impurity embedded in the surface of a ferromagnetic thin film of Fe grown on W(001). Utilizing density functional theory, we demonstrate that by changing the thickness of the Fe films, we control quantum well states confined to two dimensions that manifest as multiple flat energy contours, impinging and tuning the strength of the induced charge oscillations which allow to detect the oxygen impurity at large distances (~50 nm).

 

<主催した先生から>

ユーリッヒ研究所の教授であるPeter H. Dederichs教授は、2007年巨大磁気抵抗でノーベル賞を受賞したPeter Grunberg教授の名前の付いた研究所の教授でも有り、ホイスラー合金のハーフメタリックな性質に関する一般則や磁性金属合金や不純物の電子状態に関する第一原理計算による物性予測に関して署名な教授です。今回、1月1日から3月31日まで大阪大学特任教授としてクロスアポイントメント契約により阪大に来て戴きました。Peter H. Dederichs教授は、欧州の第一原理計算手法開発の国際ネットワークとして有名なPsi-kネットワークの議長を長年勤めるなど第一原理計算のコミュニティーのためにも大きな貢献があります。阪大との共同研究は、1980年代の金森順次郎教授の時代から山田財団や学振、フンボルト財団などの助成により継続的に続けられており、赤井久純名誉教授(理学研究科)や佐藤和則准教授(工学研究科)、小倉昌子助教(理学研究科)などがポスドクとして滞在していた経緯もあります。また、Peter H. Dederichs教授の後継者である、ユーリッヒ研究所のStefan Bluegel教授(2014年11月のカデットプログラムの国際会議で招待講演を御願いした)も日本にポスドクとして滞在していました。現在でも、年間阪大からも10人以上の研究者が滞在し、共同研究や討論を行っています。私自身も、数年前3ヶ月、ユーリッヒ研究所に滞在し、共同研究や論文の共同執筆を行っています。福島鉄也助教は、年間数ヶ月滞在し、スーパーコンピュータによる多階層連結計算や大規模シミュレーションを用いて、超並列計算を駆使したスピントロンクスに関する連続的な共同研究を行っています。

今回の、Peter H. Dederichs教授の講演では、金属がフェルミ面をもつことから生じる電荷密度の振動にであるフリーデル振動に着目して、界面などのナノ超構造における不純物によるフリーデル振動は、フェルミ面の波数空間における群速度とフェルミ面の形状を反映して、数原子層も離れたところに位置する不純物により、巨大な物性応答(フリーデル振動)と特異なパターンを示すことが第一原理計算から予測され、今までスピン分極したSTM等の実験で得られていた奇妙な規則性を持つスペクトルについて、それらを第一原理計算から見事に説明できることを明らかにした。このような研究からは、ナノ超構造の金属磁性体(ナノマグネット)の電子状態を電場で制御し、フェルミ面の形状を制御して変えることにより、フリデール振動に関する巨大物性応答を制御できる可能性があり、ナノ超構造を用いて電場でスピンを制御するスピントロニクスへの展開も期待される。これらの結果について、大変興味深い研究についてわかりやすくセミナーをして戴きました。

(吉田  博教授)

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