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H29年度 第1回 固体物理セミナーを開催します

2017年5月10日

平成29年度 第1回 固体物理セミナー

インタラクティブ物質科学カデットプログラム講演会) 

日時:10日(1440-16:10
場所:基礎工学研究科 講義棟 A304
講師:腰原伸也 教授(東京工業大学 理学院 化学系)

題目: 「新しい超高速分光・動的構造観測手法を駆使した物質相制御 -電荷・スピン・軌道の隠れた秩序が生み出す新物性開拓を目指して-」
要旨:
昨今の大型放射光光源とパルスレーザー光の組み合わせ技術の進歩、コンパクトな高強度超短パルスレーザーによるX線、パルス電子線発生技術の飛躍的進展、加えてX線自由電子レーザーの登場、さらには高感度2次元X線、電子線検出器の導入によって、ピコ秒時間スケールはもとより、フェムト秒スケールの構造変化を、オングストロームスケールでとらえることが急速に可能となってきた。我々はこの10年間、動的X線観測装置とフェムト秒分光観測技法を用いて、電荷移動錯体における光誘起強誘電性発現の構造科学的確認と、その前駆現象としてのナノスケールCTストリングダイナミクスの観測[1,2]、強相関電子系Mn酸化物において光励起以外では実現不可能な新しい物質相(隠れた軌道秩序状態、Hidden State)の発見[3]に成功した。また動的電子線回折を用いることで、強相関電子系の典型例でもある有機薄膜結晶において、電荷秩序の動的変化の観測と、基底状態では達成不可能な隠れた電荷秩序の発生の確認に成功した[4,5,6]。以上の背景に基づき本講演では、時間分解構造解析技術の動向ならびにその物質科学的意味合いを実例に基づきながら解説する[7,8]。そして時間が許す限り、非平衡状態にある物質の特性を最大限引き出し、巨大光誘起効果を生み出して行く上で、加速器ベースの各種ビーム源と研究室ベースのレーザー光源の協働が生み出す果実の重要性(甘さ加減)に付いて議論したい。
参考文献
[1] Science 300, (2003) 612-615 DOI: 10.1126/science.1082001
[2] Phys. Rev. Lett. 105, (2010) 246101 DOI:10.1103/PhysRevLett.105.246101
[3] Nature Materials 10, (2011) 101–105 DOI:10.1038/nmat2929
[4] Science 307, (2005) 86-89 DOI: 10.1126/science.1105067
[5] Phys. Rev. Lett. 101, (2008) 067403 DOI:10.1103/PhysRevLett.101.067403
[6] Nature, 496, (2013) 343 DOI: 10.1038/nature12044
[7] Acc. Chem. Res. 47, (2014) 3494−3503 DOI: 10.1021/ar500257b
[8] Science 350 (2015) 1501-1505 DOI: 10.1126/science.aab3480

 

問合先:基礎工学研究科 准教授 草部浩一
E-mail: kabe@mp.es.osaka-u.ac.jp

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