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第5回固体物理セミナーを開催しました。

2014.7.14 第5回 固体物理セミナー

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固体物理セミナー
(平成26年度 第5回)
(インタラクティブ物質科学・カデットプログラム講演会)

日時:7月14日(月)16:20~17:50
場所:基礎工学部 D404共用セミナー室
講師:岸根 順一郎
(放送大学 教養学部)
題目: 「カイラルらせん磁性体の物性と機能」

要旨:磁気秩序構造に様々な次元性を持つトポロジカル欠陥を作り込んで電流や外場によって制御しようという研究が活発に進行している。ランダウ理論によれば、秩序構造は結晶の幾何学的対称性によって括り込まれたものである。この意味で、秩序状態が織りなすトポロジカル構造も結晶の幾何構造の配下にある。我々はこのような視点に立って「カイラル磁性結晶で実現するカイラルらせん磁気構造」の研究を進
めてきた。この種の磁気構造に磁場を印加すると、カイラルソリトン格子と呼ばれるコヒーレントなスピン位相のストライプ秩序が安定化する。このストライプ構造は「周期的,非線形,非対称,トポロジカル」という性質をあわせ持ち, 0.1テスラ程度という控えめな磁場でその空間周期を数十ナノメートルから結晶サイズまで連続的に制御することができる。本講演では、カイラルらせん磁気構造とカイラルソリトン格子についての研究の現状と展望を紹介された。

<主催した先生から>
ある物体がその鏡像と重ね合わせることができないことを意味するキラリティ(対掌性)に関する厳密な定義またその歴史について紹介いただいた後、磁性体におけるキラル構造であるらせん磁性研究の歴史さらにその起源に関して大変わかりやすく説明いただいた。さらに岸根先生らが提唱されている「カイラルソリトン格子」と呼ばれるコヒーレントなスピン位相のストライプ秩序に関して、カイラルらせん磁性体CrNb3S6における同格子の実空間観測の結果を交えながら、紹介いただいた。キラリティという化学の分野でなじみのある概念を物性の分野に持ち込んだ研究内容であり、物性系の教員・院生のみならず化学系の教員・院生も参加するなど、質疑応答も活発に行われた。(木村剛教授)

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