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1.プログラムの構造
本学位プログラムは博士前期課程・後期課程を通した一貫教育として設計されています。博士前期課程修了後に就職等で外部転出を予定している学生は、本学位プログラムに参加できません。また、履修生は所属する研究科(専攻)の課程修了要件に加えて、プログラム特別科目14単位 の修得が求められます。

Qualifying Examination(QE)
Qualifying Examination(QE)は、アメリカの博士課程教育でも広く行われている、博士課程学生が博士論文研究を主体的に遂行できる基礎力を審査する仕組みです。本学位プログラムでは 2年次終了時(M2) と 4年次終了時(D2) にQEを課し、博士論文執筆およびプログラム修了に必要な素養が蓄積されているかを評価します。また、2年終了時のQE合格者のうち修士学位審査に合格し、博士後期課程に進級する者のみ学位プログラムの3年次へ進級することができます。不合格者は学位プログラムの履修資格を失いますが、所属研究科(専攻)での課程は継続されます。
FE(修了試験)と学位授与について
5年次に、本プログラムの所定の単位を修得し、在籍研究科において課程修了見込みである履修生に対し、FE(修了試験)を実施します。FEでは、履修生が物質科学分野の将来を担う博士人材としてふさわしい能力を備えているかを総合的に評価します(ディプロマポリシー参照)。
FEに合格した履修生は、本学位プログラムの修了内定となります。その後、在籍研究科において課程修了が認められた場合、所属専攻名に加えて「分野連携大学院プログラム『インタラクティブ物質科学・カデット学位プログラム』」が付記された学位が授与されます。
2.カリキュラム体系
本学位プログラムのカリキュラムは、博士前期・後期一貫の5年間を通して段階的に能力を育成する構造となっており、以下の4つの科目群で体系的に編成されています。
- アカデミックコミュニケーション群(必修科目)
- コア実践科目群(必修科目・選択必修科目)
- ベーシックリテラシー群(必修科目)
- 学際教養群(選択必修科目)
2-1. アカデミックコミュニケーション群(必修科目)
物質科学分野で国際的に研究を発信する力を体系的に育てる必修科目です。
◆ 物質科学英語P(アカデミックプレゼンテーション)
研究内容を英語でわかりやすく伝えるために、発表構成、スライド作成、表現方法、質疑応答など、国際学会に必要な技能を演習形式で学びます。
◆ 物質科学英語W(アカデミックライティング)
英語論文・レポートの書き方を、導入から考察まで体系的に習得します。論理的で明確な文章表現や語彙・文法の精度を高め、国際的に通用する文章力を育てます。
※両講義は、応用言語学専門で実践的な理系英語教育経験の豊富な Chris Edelman 先生 が担当します。
2-2. コア実践科目群(必修科目・選択必修科目)
本学位プログラムで重視する「研究の場を超えた学び」を体験する科目です。
◆ インタラクティブプレゼンテーション1・2(必修)
本学位プログラムでは、研究成果を伝える力と同時に、研究交流の「場」を自ら企画し運営する経験を重視しています。履修生は、自分たちで研究交流イベントを立ち上げ、企画し、実施します。毎年開催される履修生行事「インタラクティブ交流会」はその代表例ですが、日程の都合で参加が難しい履修生は、複数名で協力して別日程の交流企画を立ち上げ、独自に実施します。
こうした取り組みを通じて、研究紹介の準備や議論の設計、アブスト集の作成、招待ゲストとの調整、当日の運営などを実践的に経験し、企画力や調整力、発信力を自然に身につけます。履修生は、5年間のうち少なくとも2回、これらの研究交流イベントの企画・運営・発表のいずれかに主体的に関わることが求められます。
◆ 研究室ローテーション(必修/3か月)
自分の専門とは異なる研究領域に属する研究室での研究・教育指導を3か月間体験します。これにより、
1. 主専門とは異なる研究手法や領域横断的視点による 複眼的思考・俯瞰的視点
2. 専門分野の異なる研究者と議論するための コミュニケーション力
を養います。ローテーションがきっかけとなり、新たな共同研究が始まった例もあります。
◆ 物質科学国内研修(選択必修/6週以上)
企業や研究機関、省庁等でのインターンシップを通じ、研究が社会で活用されるための視点や、チームで仕事を進めるために必要なスキルを学びます。
プログラムが重視する「コミュニケーション力」「柔軟性」「複眼的思考」の獲得を目指す実践科目です。国内研修先には、企業だけでなく理化学研究所や情報通信研究機構(NICT)など、最先端物質評価施設も含まれます。
※ これまでの履修生が参加した研修先一覧(国内)はこちらで公開しています。
◆ 物質科学海外研修(選択必修/6週以上)
海外の企業・大学・教育研究機関での研究活動を主とするインターンシップです。英語による研究ディスカッションや研究生活を通じて実践的コミュニケーション力を育成するとともに、主専門とは異なる研究手法や複数の実践的知識に基づく 複眼的思考、そして世界に向けて研究を発信するための 国際突破力を養成します。
※ これまでの履修生が参加した研修先一覧(海外)はこちらで公開しています。
2.3 ベーシックリテラシー群(必修科目)
◆ 物質科学ベーシックリテラシー
本来R3センターの社会人向け有料夜間講義ですが、本プログラム履修生のみ特別に受講可能です。100を超える最先端研究者による講義の中から、履修生は自身の専門分野で日常的に用いている研究手法や視点を踏まえつつ、それを横方向に広げるための6講義を選択して受講します。
実験を主とする履修生が理論的アプローチを選んだり、物理中心の履修生が化学合成・材料系の講義を選んだり、その逆の履修選択も期待されています。こうした“横への拡張”を促すことで、専門の軸を保ちながら新しい学びの視点を獲得し、物質科学の基礎力をより立体的に養うことを目的としています。
※本群は必修科目であり、提示された複数の講義の中から規定科目数(6科目)を選択して履修します
2-4. 学際教養群(選択必修科目)
物質科学を広い視野で理解するための選択科目です。本群には、本学位プログラムが特に推奨する カデット選択科目(4科目) と、他研究科等が提供する 選択科目 が含まれます。カデット選択科目は、プログラムの理念に基づき特に学びの効果が高い内容として位置づけられています。
カデット選択科目の一例として下記のような科目があります。
◆ インタラクティブ科学表現(LSP)〔カデット選択科目〕
LEGO® Serious Play® を用いた5日間の集中ワークショップです。手を動かしてモデルを作りながら、科学者としての価値観や研究の意味を再考し、英語で自分の研究を語る力、異分野研究者との対話力、創造性と協働力を高めます。
この講義はLEGO® Serious Play®のファシリテーターであるMark D. Sheehan 先生が担当します。
◆科学技術とイノベーション〔カデット選択科目〕
新たな科学の発見がイノベーションにつながった例は数多くあるが、スティーブ・ジョブスが“Connecting Dots”と表現した様に、イノベーションの本質は異質な物や考え方の結合である。本講義では科学技術が先導したイノベーションの詳細な分析・検討、将来リーダーとして活躍する博士人材が理解しておくべきR&Dマネジメントの議論、日本の科学技術政策の課題の議論などを通して、皆さんに身に着けてほしい視点を一緒に考えます。
◆イノベーションと人間力〔カデット選択科目〕
生成AIの登場により、科学技術に携わる私たちの立ち位置が揺らいでいます。科学技術に基づき未来を切り拓いていく皆さんに覚えておいてほしいリーダーとしての力について、R&Dマネジメントの歴史や将来展望、科学技術に基づくイノベーションの実例を解析する事で皆さんの、牽引する力、創造する力、協調する力の理解を深める事を目指します。



