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固体物理セミナー 平成25年度 第5回

2013年10月7日

固体物理セミナー
(平成25年度 第5回)
 (インタラクティブ物質科学カデットプログラム講演会)

日時:10月7日(月)13:00-14:30
場所:基礎工学部 B103講義室
講師:海老原 孝雄
(静岡大学 大学院 理学研究科)
題目:「量子臨界点近傍に位置するYbRh2Si2の特異物性とYbの価数」

概要: 重い電子系と呼ばれる希土類・アクチナイド化合物では、局在的なf電
子同士の間接相互作用であるRKKY相互作用と、f電子に遍歴性を獲得させるKondo
効果の2つの相互作用が競合している。上記2つの相互作用が拮抗するところは、
量子臨界点(Quantum Critical Point:QCP)と呼ばれ、QCP近傍では新奇な超伝
導や非フェルミ液体状態を含む特異な物性が見出されている。このため、QCP近
傍に位置し、特異物性を示す物質の開発が盛んに試みられ、開発された試料を用
いたQCP近傍での電子状態を解明する努力が続けられている。しかし、QCP近傍で
の電子状態を説明する確立したモデルはなく、Spin-Density-Waveシナリオや
Local-Criticalシナリオが提唱されるとともに、Valence Fluctuationシナリオ
が上記2つのシナリオと競合もしくは併存するとの理論的提案も、近年なされて
いる。
 QCP近傍での特異物性についての研究は、これまでCe化合物において強く推進
されてきた。一方で近年、YbAlB4における超伝導と量子臨界性の発見や、
YbRh2Si2で量子臨界点近傍に位置することで特徴的に現れる非フェルミ液体状態
の報告があり、Yb系での物質開発と量子臨界点近傍での特異物性観測にも注目が
集まっている。本講演では、非フェルミ液体状態を示しLocal-Criticalシナリオ
の成り立つ好例として強く主張されているYbRh2Si2についてレビューし、既に結
晶育成に成功している独仏グループとは別に、独自育成したYbRh2Si2試料を用い、
X線吸収で決定したYb価数の温度依存性と磁場依存性の結果を示す。

問合先:関山 明 (基礎工D棟410号室)
Tel: 06-6850-6420
E-mail:sekiyama@mp.es.osaka-u.ac.jp

*固体物理セミナーは、物性・未来(物性系)M2必修科目「ゼミナールIV」に
該当します。

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